WARから見るメジャーMVP

前の記事でメジャーMVPのMVP獲得年のOPSワーストランキングを紹介した

メジャーMVPのOPSワーストランキング - 暇人日記 (hateblo.jp)

1位はマーティ・マリオンでOPS脅威の.686だったがこの記事だけでは偉大なMVP受賞者を貶めるだけの記事になってしまう

そんな人達への名誉回復の為にも今回はWARの面からメジャーMVPを見ていく

使用サイト  MLB WAR Leaderboards 2023 | FanGraphs Baseball

※MVPの表彰をBBWAAがするようになった1931年以降のデータを集計しています

※こんな記事を書いておいてなんですか、Fangraphsも「WARの1未満の差に着目するのは無意味」と発言しています。あくまで参考程度に

※WARは積み上げる系の指標であり、試合数の差によって数値の差がモロに出ます。MLBが完全に162試合制になったのは1962年からであり、それ以前の試合数は154だったので62年以前が不利になってしまいますが面倒臭いのでそのまま。同様に1972年、95年もストライキによって試合数が減少していますがそれでも最低試合数153試合とまあまああるのでそのまま。ただ試合数がガッツリ減った1981、1994年(スト)と2020年(コロナ)は流石に影響が大きいので参考記録としています。

※私は「ワー読み」派です

 

 

まずはメジャーMVPのMVP獲得年のWARランキングから

 

10位.ジョー・モーガン(1975NLMVP) WAR11.0

この年は2位にWAR2.8差とぶっち切りの1位。OPSもリーグ1位と文句なし

 

10位.スタン・ミュージアル(1948NLMVP) WAR11.0

同率10位にスタン・ミュージアル。試合数的に62年以前は不利な筈だがそれでもランクイン。MVP3回は偉大である

 

9位.カール・ヤストレムスキー(1967ALMVP) WAR11.1

この年の三冠王。以降ミゲル・カブレラまで三冠王は45年でなかった

 

8位.ジミー・フォックス(1932ALMVP) WAR11.3

MVP三回、三冠王獲得のレジェンド。試合数が不利にも関わらずこのWARである

 

7位.ミッキー・マントル(1957ALMVP) WAR11.4

スイッチヒッター最多の536本塁打、MVP三回獲得など活躍

 

5位.ミッキー・マントル(1956ALMVP) WAR11.5

またもやミッキー・マントル。この年は三冠王獲得

 

5位.アーロン・ジャッジ(2022ALMVP) WAR11.5

おじいさんだらけの中、昨年のアリーグMVPアーロン・ジャッジ、AL史上最多の62本塁打などその活躍は最早説明不要だろう

 

4位.テッド・ウィリアムズ(1946ALMVP) WAR11.6

MLB最後の4割打者にして三冠王2回、MVP2回、通算出塁率.482を記録

 

3位.バリー・ボンズ(2004NLMVP) WAR11.9

さあ皆さんお待ちかね、毎度恒例ボンズ無双へ突入。この年はMLBシーズン記録の232四球120敬遠出塁率.609OPS1.422を記録

 

2位.バリー・ボンズ(2001NLMVP) WAR12.5

MLBシーズン記録の73本塁打長打率.863を記録した2001年ボンズが2位

 

1位.バリー・ボンズ(2002NLMVP) WAR12.7

1位はまさかの2002年ボンズ。01か04年だろうと思っていたのでこれは以外だった。

40-40を達成した96年、73本打った01年、WAR12.7を記録した02年、OPS1.422を記録した04年などどれをキャリアハイにしていいのかわからない

 

 

 

続いてワーストランキング

 

10位.スティーブ・ガービー(1974NLMVP) WAR3.8

いきなり前の記事でも登場したスティーブ・ガービーが登場。OPS.811はMVP獲得者の中でワースト8位であり、WARもワースト10位という結果になってしまった...

同じドジャースにはWAR7.4を稼いだジミー・ウィンもおり、つくづく謎のMVPである

 

10位.ジャスティン・モルノー(2006ALMVP) WAR3.8

同率10位にモルノー。同じツインズにはこの年首位打者で2009年MVPに輝きWAR5.8を稼いだジョー・マウアーがいたがモルノーが選出。カナダ人史上二人目のMVPとなった

 

8位.ジェフ・バローズ(1974ALMVP) WAR3.7

1974年はNLに続きALもWAR3台から選出。レンジャーズ打者のWARランキング1位でレンジャーズの2位躍進に貢献

 

7位.ドン・ベイラー(1979ALMVP) WAR3.6

打点王を獲得する活躍でエンゼルス初の地区優勝に貢献。しかし63試合が指名打者、78試合がレフトとしての出場だった為あまりWARは稼げなかった

 

5位.フアン・ゴンザレス(1996ALMVP) WAR3.5

.314 47本 144打点の活躍でレンジャーズ初の地区優勝に貢献。

A-RodとのMVP競争を3ポイント差で制してMVP受賞

 

5位.アンドレ・ドーソン(1987NLMVP) WAR3.5

49本 137打点と二冠王の活躍でチームは最下位ながらMVP獲得

WARやチーム成績を考慮すると今だったらMVPになっていないかもしれない

 

4位.ウィリー・ヘルナンデス(1984ALMVP) WAR3.2

9勝3敗32S 防御率1.92の活躍でこの年タイガースのリーグ優勝に貢献。同年、サイヤング賞も受賞している。しかしクローザーがあまり評価されないWARの特性上数字はやや残念な結果となっている

 

3位.デニス・エカーズリー(1992ALMVP) WAR3.1

7勝1敗51S 防御率1.91の活躍でアスレチックスの地区優勝に貢献。また同年サイヤング賞受賞。例に漏れずクローザーが評価されないWARの特性上WARは3.1となっている

 

2位.ウィリー・スタージェル(1979NLMVP) WAR2.7

この年のNLはMVPが二人おり、その内の一人、ウィリー・スタージェル。成績的には.281 32本 81打点とまずまずだが、39歳という高齢でPOPS(お父さんの意)と呼ばれる程のリーダーシップを発揮しチームをWS優勝に導いた活躍が評価された

 

1位.ジム・コンスタンティー(1950NLMVP) WAR0.5

1位はなんとビックリWAR0.5のジム・コンスタンティー。いくらWARを稼ぎにくい救援投手と言えど2.0あればスタメン級と呼ばれる中でこの数字は驚異的である。成績は16勝7敗22S 防御率2.66でWARは0.9、しかし打撃WARで-0.4されておりこの驚異的なWARへと繋がってしまった。

一応チームはリーグ優勝している

 

 

 

 

 

 

おまけ

メジャーMVPのWAR(1931-2022)

年  NL   AL
22 7.1  11.5
21 6.6  8.0
20 3.2  2.8  (コロナで60試合)
19 7.8  8.3
18 7.7  10.5
17 6.8  7.5
16 7.9  8.6
15 9.3  8.7
14 8.4  8.3
13 8.1  8.6
12 10.1  7.3
11 7.1  6.4
10 6.9  8.4
09 8.4  8.4
08 8.7  6.4
07 6.5  9.6
06 5.9  3.8
05 7.7  9.1
04 11.9  5.9
03 10.2  9.2
02 12.7  4.5
01 12.5  6.0
00 7.4  7.7
99 7.3  6.8
98 7.1  4.9
97 9.1  9.0
96 7.5  3.5
95 5.3  5.1 
94 7.8  7.0 (ストで最高117試合)
93 10.5  6.3
92 9.6  3.1
91 6.3  10.6
90 9.9  10.2
89 6.9  5.3
88 6.2  7.6
87 3.5  5.3
86 5.8  7.1
85 7.1  6.1
84 8.0  3.2
83 7.0  8.5
82 6.0  9.8
81 7.8  2.6 (ストで最高117試合)
80 9.0  9.1
79 ナは二人7.4,2.7  3.6
78 6.8  7.7
77 8.9  8.6
76 9.5  4.6
75 11.0  7.1
74 3.8  3.7
73 7.3  7.1
72 9.2  8.0
71 6.9  8.4
70 7.9  5.7
69 7.9  7.1
68 9.1  7.1
67 6.8  11.1
66 7.1  8.2
65 10.7  7.0
64 6.0  8.1
63 8.6  5.9
62 5.3  6.0 
61 7.1  7.1
60 5.8  7.2
59 9.7  6.0
58 8.7  5.5
57 7.6  11.4
56 5.9  11.5
55 5.7  5.2
54 10.3  5.9
53 7.7  9.1
52 5.5  6.3
51 7.1  5.3
50 0.5  6.9
49 9.6  9.9
48 11.0  10.9
47 6.3  4.8
46 8.6  11.6
45 6.3  8.7
44 4.6  7.8
43 9.8  7.1
42 6.4  8.7
41 6.9  9.7
40 5.5  7.6
39 4.6  8.5
38 5.2  8.2
37 8.2  7.4
36 6.0  9.6
35 5.1  7.5
34 7.0  3.9
33 6.7  9.8
32 6.9  11.3
31 4.1  7.1

 

 

 

おまけ2

MVP関係なくシーズンWAR10を記録した選手(1900-2022)

22アーロン・ジャッジ 11.5
18ムーキー・ベッツ 10.5
13マイク・トラウト 10.2
12バスター・ポージー 10.1
12マイク・トラウト 10.1
04バリー・ボンズ 11.9
03バリー・ボンズ 10.2
02バリー・ボンズ 12.7
02アレックス・ロドリゲス 10.0
01バリー・ボンズ 12.5
99ペドロ・マルティネス 11.6
98ケビン・ブラウン 10.0
97ロジャー・クレメンス 10.8
93バリー・ボンズ 10.5
91カル・リプケンJr 10.6
90リッキー・ヘンダーソン 10.2
75ジョー・モーガン 11.0
73バート・ブライレブン 10.8
72スティーブ・カールトン 11.6
71ファーガソン・ジェンキンス 11.2
70ボブ・ギブソン 11.3
67カール・ヤストレムスキー 11.1
65ウィリー・メイズ 10.7
65サンディー・コーファックス 10.5
64ウィリー・メイズ 10.5
62ウィリー・メイズ 10.5
61ミッキー・マントル 10.3
61ノーム・キャッシュ 10.2
57ミッキー・マントル 11.4
56ミッキー・マントル 11.5
54ウィリー・メイズ 10.3
48スタン・ミュージアル 11.0 
48ルー・ブドロー 10.9
46テッド・ウィリアムズ 11.6
42テッド・ウィリアムズ 11.5
41テッド・ウィリアムズ 11.0
32ジミー・フォックス 11.3
31ベーブ・ルース 10.7
30ベーブ・ルース 10.7
29ロジャース・ホーンスビー 11.0
28ベーブ・ルース 10.5
27ベーブ・ルース 12.9
27ルー・ゲーリッグ 12.4
27ロジャース・ホーンスビー 10.4
26ベーブ・ルース 11.8
25ロジャース・ホーンスビー 10.7
24ベーブ・ルース 12.3
24ロジャース・ホーンスビー 12.2
23ベーブ・ルース 14.7
22ロジャース・ホーンスビー 10.5
21ベーブ・ルース 13.6
21ロジャース・ホーンスビー 11.1
20ベーブ・ルース 13.2
17タイ・カッブ 11.5
12トリス・スピーカー 10.6
12ウォルター・ジョンソン 10.4
11タイ・カッブ 11.0
10タイ・カッブ 10.3
09エディ・コリンズ 10.0
08ホーナス・ワグナー 11.8
08クリスティ・マシューソン 10.8
05ホーナス・ワグナー 10.8

 

 

シーズンWAR10を記録した選手の内、現役選手(アーロン・ジャッジ、ムーキー・ベッツ、マイク・トラウト)、引退から5年以内の選手(バスター・ポージー)、薬物疑惑のある選手(バリー・ボンズロジャー・クレメンスアレックス・ロドリゲス)、61年のノーム・キャッシュ以外の全員が殿堂入りしている。