中央競馬には2024年現在、129の平地重賞レースが存在する。
その中で競馬界最高峰、全てのホースマンの目標であるGIレースの数は僅か24レースだ。
残り105のGII、GIIIレースはGIへ勝つためのステップとして、実力を確かめる、鍛えるための舞台として使われていると言っても過言では無い。
しかし、そんな重賞レースの中でも出世レースなどと言われ多くの有力馬が集う重賞から、どのGIのステップレースにもなってない様などこを目指してるんだかわからない重賞まで格差が存在する。
ということで今回は勝ち馬から最もGIを勝つ馬が出ていない、逆出世レースを探してみた。
その結果、1度も後にGIを勝つ馬が出ていない逆出世レースを複数見つけることが出来た。
それを紹介していこう。
※グレード制が導入された1984年以降のみのデータです。
※普段は面倒くさいので含めていませんが、今回は地方GI、JpnI勝ち馬もGI馬に含めています。(含めないとダート重賞が寂しいことになるので)
※格付けは現在のものを準拠にしています。
※葵ステークスなどの様に1984年以降新設された重賞は新設された年を始まりとしてカウントしています。
1.(GIII)葵ステークス
1つ目は葵ステークス。
2018年に新設されまだ7回しか施行されていないということもあり、逆出世レースとなってしまった。
GI2着は第1回の覇者ゴールドクイーンの19年レディスクラシックと第5回覇者ウインマーベルの22年スプリンターズSの2回。
ちなみに第6回葵ステークスでモズメイメイに1/2馬身差の2着と敗れたルガルが24年のスプリンターズSで優勝している。
まだまだ日が浅いレースであり、今後3歳短距離馬の登竜門となって行って欲しいものだ。
2.(GIII)ターコイズステークス
2つ目はターコイズステークス。
こちらも2015年に新設されたまだ新品の香りがする重賞だ。
こちらのGI2着は第1回覇者シングウィズジョイの16年エリザベス女王杯と第9回覇者フィアスプライドの24年ヴィクトリアマイルの2回。
レッドリヴェールやレッツゴードンキといった既にGIを勝利していた馬の出走もあり、出走した馬のGI勝利にも期待したい。
3.(GIII)京都2歳ステークス
3つ目は2014年に新設された新参重賞京都2歳ステークス。
GI2着は第10回覇者シンエンペラーの23年ホープフルSと24年ジャパンカップの2回。
2000mの2歳戦は良い馬が集まりそうだが意外にも勝ち馬のGI勝利はなし。
しかしシンエンペラーがジャパンカップで2着、今後も活躍を期待されておりこのリストで見れるのも今年のうちかもしれない。
4.(GIII)福島牝馬ステークス
4つ目は2004年に新設された福島牝馬ステークス。
GI2着は第6回覇者ブラボーデイジーの2009年ヴィクトリアマイルと第11回覇者ケイアイエレガントの2015年ヴィクトリアマイルの2回。
ちなみに第18回覇者のディアンドルは先述した葵ステークスを制している他、桜花賞馬レジネッタがこのレースで2年振りの復活勝利をあげたこともある。
5.(GIII)中山牝馬ステークス
5つ目にようやく84年時点で存在した中山牝馬ステークス。
GI2着は第20回覇者ダイヤモンドビコーの2002年エリザベス女王杯と第39回覇者ランブリングアレーの2021年ヴィクトリアマイルと第41回覇者スルーセブンシーズの2023年宝塚記念の3回。
レディパステル、ヤマニンシュクル、キストゥヘヴンといったGI馬やダイワメジャー、ダイワスカーレットの母スカーレットブーケも勝利したことがある。
6.(GIII)愛知杯
最後に愛知杯。
かつては父内国産馬限定競走に指定されたことでも有名である。
GI2着はまさかの1度もなし。
内国産馬限定競走時代は条件の時点でGIで勝ち負け出来るような有力馬が少なく、そもそも勝ち負け出来るレベルの馬は愛知杯になど出ないということもあり、1963年から実に61回の歴史を数えるレースではあるものの勝ち馬からGI馬を出すことは出来ていない。
いつかこのジンクスが破られる時が来るのだろうか。
ということで以上が勝ち馬から1頭もGI馬の出ていない逆出世レースとなる。
しかしレースの格付けをよく見てもらいたい。
GIIIしかないのである。
流石のGIIは全レースGI馬を出していた。
しかしGI馬が少ないレースは存在する。
ということで続いては勝ち馬からGI馬が3頭以下しか出ていないGIIレースを紹介。
1.紫苑ステークス 3頭
ということでまず1つ目は紫苑ステークス。
勝ち馬から出たGI馬は2017年ディアドラ、2018年ノームコア、2022年スタニングローズの3頭。
こう聞くと少なく聞こえるが、そもそもこのレースは2016年に新設されたまだ日の浅い重賞であり、そこから考えると勝ち馬からのGI馬排出率3/9で33.4%と非常に高い。
2.青葉賞 3頭
気を取り直して続いては青葉賞。
こちらは1994年に新設された現在31回の歴史を数える重賞である。
勝ち馬から出たGI馬は2002年シンボリクリスエス、2003年ゼンノロブロイ、2012年フェノーメノの3頭。
ダービートライアルでありながら青葉賞勝ち馬はダービーを勝てないという悲しいジンクスがあり、勝ち馬から出たGI馬も3頭と少ないがその3頭は皆GIを複数勝利しており、その上シンボリクリスエスとゼンノロブロイの2頭は年度代表馬になっている、非常に濃いメンバーだ。
3.ステイヤーズステークス 2頭
3つ目はステイヤーズステークス。
ご存知平地競走最長距離のレースである。
勝ち馬から出たGI馬は1997年メジロブライト、2005年デルタブルースとやはり長距離臭の強い2頭だ。
やはりその非常に長い距離がネックとなりGIを勝つ勝ち馬は少なくなってしまっている。
4.目黒記念 1頭
最後は目黒記念。ダービーと同日同競馬場開催の重賞ということでダービーで負けた多くの人が賭け倍負けたであろうレースである。
勝ち馬から出た唯一のGI馬は2000年のステイゴールド。
1932年から施行されている非常に歴史あるレースということもあり、勝ち馬からの八大競走勝ち馬には共に年度代表馬、顕彰馬にまで輝いたハクチカラやスピードシンボリなどなど多くの馬がいる。
またこの頃の勇姿を見せて欲しいものだ。
おまけ
各重賞と勝ち馬から出たGI馬の数
サンプル
レース名 (GI馬)/レース回数(該当重賞を勝った年)
※1997年平安ステークスで同着優勝だった2頭どちらも後にGIを制覇しているので、分母はそのまま1年で2頭分としてカウントしています。
GI昇格したレース
フェブラリーステークス(-1996) 0/13
高松宮杯(-1995) 3/12(88,90,91)
産経大阪杯(-2016) 15/33(84,86,89,90,92,93,94,96,97,06,07,08,09,11,13)
スプリンターズステークス(-1989) 1/6(84)
ホープフルステークス(-2016) 14/33(90,92,94,96,98,00,02,03,04,08,09,12,13,16)
GII
日経新春杯 6/41(87,01,11,17,19,24)
AJCC 7/41(87,95,98,99,07,11,12)
プロキオンステークス 7/41(96,97,00,11,13,15,19)
京都記念 11/41(94,00,07,10,13,15,16,17,20,21,23)
中山記念 16/41 (86,87,94,96,98,99,02,08,09,11,14,17,18,19,20,22)
チューリップ賞 11/31(96,01,04,07,09,12,14,16,17,18,22)
フィリーズレビュー 9/41(85,86,90,91,97,05,07,13,15)
弥生賞 20/41(84,87,88,90,93,96,98,99,01,04,05,06,09,10,11,15,16,21,22,23)
スプリングステークス 14/41(85,92,94,96,02,03,06,09,11,13,15,17,18,23)
金鯱賞 11/41(94,98,00,02,03,04,08,10,11,18,22)
阪神大賞典 16/41(88,91,92,97,98,99,00,06,08,13,14,15,16,18,23,24)
日経賞 8/41(85,87,93,01,03,13,21,22)
ニュージーランドトロフィー 10/41(86,88,92,94,96,97,98,00,12,19)
阪神牝馬ステークス 5/41(93,00,04,08,11)
青葉賞 3/31(02,03,12)
フローラステークス 6/41(86,87,90,10,17,20)
読売マイラーズカップ 8/41(85,91,92,94,06,08,22,24)
京王杯スプリングカップ 15/41(84,85,87,91,93,97,98,99,05,11,12,16,17,19,20)
京都新聞杯 10/41(85,88,89,90,96,97,98,00,04,13)
目黒記念 1/41(00)
札幌記念 11/41(91,96,97,05,06,10,11,16,20,21,22)
紫苑ステークス 3/9(17,18,22)
セントウルステークス 6/38(98,02,17,18,19,20)
ローズステークス 10/41(86,91,94,98,02,03,05,07,11,12)
セントライト記念 7/41(84,92,04,09,12,15,24)
オールカマー 9/41(89,96,97,00,07,15,18,21,22)
神戸新聞杯 15/41(89,93,97,02,03,05,07,10,11,12,13,16,17,20,22)
毎日王冠 14/41(84,86,88,89,91,92,93,94,99,01,06,09,15,19)
京都大賞典 13/41(84,89,91,94,96,97,98,00,03,15,16,20,22)
アイルランドトロフィー 6/41(93,98,00,08,16,18)
スワンステークス 12/41(84,86,89,93,94,95,97,99,09,13,14,16)
富士ステークス 8/27(98,04,11,13,19,21,22,23)
京王杯2歳ステークス 10/41(85,88,96,97,98,02,03,09,10,17)
アルゼンチン共和国杯 6/41(07,08,10,15,16,17)
デイリー杯2歳ステークス 10/41(91,92,96,03,07,10,17,18,21,23)
東京スポーツ杯2歳ステークス 15/29(97,98,01,05,08,09,10,11,13,14,17,19,20,21,24)
ステイヤーズステークス 2/41(97,05)
阪神カップ 5/19(09,10,13,14,19)
GIII
中山金杯 7/41(85,86,95,98,07,15,19)
京都金杯 6/41(88,90,91,05,08,13)
フェアリーステークス 2/41(84,85)
シンザン記念 7/41(86,97,02,12,14,18,21)
京成杯 3/41(10,23,24)
愛知杯(小倉牝馬ステークス) 0/41
根岸ステークス 9/41(01,02,03,05,16,18,20,21,23)
シルクロードステークス 10/29(96,98,01,08,12,13,14,18,19,24)
東京新聞杯 9/41(86,96,99,02,05,07,08,18,19)
きさらぎ賞 7/41(90,98,99,03,07,11,16)
クイーンカップ 11/41(85,94,99,04,06,08,11,12,16,19,21)
共同通信杯 17/41(85,86,90,94,97,98,00,01,06,12,14,15,16,17,19,21,24)
ダイヤモンドステークス 4/41(03,13,22,24)
阪急杯 10/41(97,98,00,02,04,08,10,13,14,16)
小倉大賞典 2/41(91,98)
オーシャンステークス 4/19(10,19,20,22)
中山牝馬ステークス 0/41
フラワーカップ 8/38(93,97,02,04,05,06,08,22)
ファルコンステークス 6/38(88,89,93,02,09,18)
京都牝馬ステークス(愛知杯) 4/41(91,94,13,16)
毎日杯 12/41(86,88,96,99,01,04,08,10,13,17,18,21)
マーチステークス 3/31(09,11,22)
ダービー卿チャレンジトロフィー 7/41(85,86,94,98,05,10,15)
アーリントンカップ(チャーチルダウンズカップ) 11/33(00,01,02,03,12,13,14,16,17,18,22)
アンタレスステークス 6/29(04,11,12,13,16,21)
福島牝馬ステークス 0/21
ユニコーンステークス 15/29(96,97,98,99,00,03,05,13,15,16,17,18,19,20,24)
エプソムカップ 4/41(91,96,07,15)
新潟大賞典 2/41(92,19)
平安ステークス 5/31(97,97,04,19,20)
葵ステークス 0/7
函館スプリントステークス 5/31(97,02,08,11,12)
マーメイドステークス(府中牝馬ステークス) 2/29(97,04)
ラジオNIKKEI賞 2/41(84,92)
函館記念 2/41(86,88)
北九州記念 2/41(01,08)
七夕賞 2/41(98,02)
小倉記念 2/41(08,19)
函館2歳ステークス 3/41(84,96,97)
関屋記念 2/41(85,07)
プロキオンステークス(東海ステークス) 6/29(00,02,05,14,15,19)
アイビスサマーダッシュ 2/24(02,04)
クイーンステークス 6/41(92,94,95,00,11,18)
エルムステークス 3/29(99,03,12)
レパードステークス 2/16(09,12)
CBC賞 8/41(90,98,99,00,02,08,16,21)
中京記念 4/41(90,91,00,02)
新潟2歳ステークス 5/41(04,08,13,21,23)
キーンランドカップ 2/19(11,19)
新潟記念 2/41(98,18)
中京2歳ステークス 4/41(01,03,06,16)
京成杯オータムハンデキャップ 3/41(94,01,23)
札幌2歳ステークス 8/41(91,95,00,05,08,13,20,21)
チャレンジカップ 7/41(84,96,02,04,08,20,23)
シリウスステークス 9/28(99,02,03,05,09,15,18,20,22)
サウジアラビアロイヤルカップ 4/10(17,18,19,22)
アルテミスステークス 5/13(16,17,20,21,23)
ファンタジーステークス 7/29(98,02,03,04,06,18,19)
みやこステークス 4/14(10,12,16,21)
武蔵野ステークス 6/29(01,05,09,13,15,18)
福島記念 3/41(84,17,21)
京都2歳ステークス 0/11
京阪杯 7/41(84,94,95,96,05,11,18)
鳴尾記念 5/41(87,88,10,15,19)
中日新聞杯 1/41(09)
カペラステークス 2/17(14,21)
ターコイズステークス 0/10